祖母

 土曜だってのに仕事で千葉県の柏市まで行かされることになったので、その近くに住んでいる祖母の家におこづかいをもらおうと立ち寄った(26才)。この日は夜に数少ない友人たちとおいしいうな丼を食すことになっていたのだが、祖母が「朝ごはんは焼き魚とうな丼どっちがいい?」と聞いてきたので、パブロフが見たら法則を発見するであろうほどの条件反射で「うな丼!」と返答してしまい、この時点で一日二食うな丼になることが確定した。パブロフ博士もまさかこんなところで引き合いに出されるとは思ってもみなかっただろうが、そんな二択を出されたら瞬時にうな丼を選択するに決まっている。たぶん今からタイムマシンで質問直前に戻ったとしてもうな丼と答えてしまう。ともかくしばらくしてガガーンと出てきたうな丼を、ブヒギィブヒギィと声を立て、もしかして箸いらないんじゃないかというくらいの勢いで食い散らかしていると、祖母が突然「渡すのをすっかり忘れてた」とか言いだして、高校卒業のお祝いをくれたのだった(26才)。言われてみれば確かに貰った記憶はないが、祖母の最近のボケっぷりを思うと本当に貰っていないのか疑問も残る。そもそも卒業した記憶自体が曖昧なほどなので、今となっては真実がどうだったのかは全く分からないが、お金をくれるのを拒む理由がどれだけ考えても見当たらなかったので有難く頂戴した。また欲しいので、あと5年くらいしたらそれとなく高校の卒業祝いを貰っていなさそうな話を切り出してみたいと思う。