エンジン

 車のエンジンがかからないというウンポコトラップがこの10日間で3回ほど発動しており、そのたびに抱えていた予定が大幅に狂ってついでに僕まで狂いそうになっていたのだが、よりによって大型台風絶賛接近中の今日もまたエンジンが掛からなかった。これで計2台、4回目。1台目のキューブはすでに故障と判明して修理に出しているが、今回のマーチも明らかにバッテリー関係かダイナモあたりの故障。10日で2台壊れるとか車関係の呪いにでも掛かっているとしか思えない。
 車が使えないってことは台風がジワリジワリと接近中なのに電車と徒歩のコンビネーションで仕事をしないといけないので、「お願い、掛かって」と真顔で声に出してお願いしながらエンジンをかけてみたり、のび太のママが調子の悪いテレビを直す時の要領でボンネットを叩いてみたりしたが、どれだけ頑張ってキーを回しても「カカカカカ」とかいう、車の中にキツツキでも住み着いてんじゃねーのって思うような音を立てるばかりだったので、結局疲れ果てて諦め、タイヤを蹴っとばし(小者)、電車で出社した。
 んでもってその状態でお客様周りをしたわけなんだけども、昼過ぎに30分ほど、ドシャ降りとはこういうことをいうのだー!!と言わんばかりの大雨が降った時間帯があって、それがこっちの徒歩移動時間と完全に合致した結果、視界が曇るほど雨の吹き荒ぶ道を30分間ずっとドスドスと歩きつづける羽目に陥った。傘を差してたのに全身がズブ濡れになり、特に下半身はもしかして今僕が着ているのはただのスーツではなくウェットスーツなのでは?と疑問に思うほどのツヤツヤ感が出るほどびしょ濡れだった。多分あの時ならおしっこを漏らしてもバレなかったはず。その直後に訪ねた家では水を垂らすタイプの妖怪みたいな見た目のままお客様の前に姿を現してしまい、真顔で心配された。今日は地獄のような環境の中で、自分の周りを覆っているベタベタ感が雨なのか汗なのか油なのかも判然としないまま2時間程歩き、何とか切り抜けることができたが、明日もほぼ間違いなくエンジンはかからない。修理費は会社で出してくれるだろうか。車が壊れたのはお前が重すぎるからだ、と言われたら一瞬で論破される。不安だ。