お湯最高

 まるでお百度参りのごとく、来る日も来る日も冷水のシャワーを浴びてたら、なんか体の周りが油でコーティングされてるような感覚になってきたので(誤解を生まないように補足しておくと脂肪がついて困るって言うんじゃなくて心なしか皮膚の外側がベタベタするっていう、あ、いや、まあ脂肪にはホトホト困り果ててるけど、今回はその話じゃなくて)、あったかいシャワーを浴びるためだけに実家に帰ってきた。到着した次の瞬間しずかちゃんばりの勢いでガスのスイッチを入れて風呂に突入したんだけどやっぱお湯最高。シャワーを浴びても心臓がキュゥってならない。家でシャワー浴びるときはいつも心臓に「止まるなよ」って強く言い聞かせてからじゃないと到底こわくて入れなかったけどこっちじゃ自分の心臓とコミュニケーションとる必要ゼロだからね。いやー文明ってすげえわ。感動のあまり3回シャワー浴びた。ガスってお湯も出るし火も出るし人生に絶望したら自殺にも使える。なんて便利なんだ。心臓とはえらい違い。普段はまあ動いてるからいいかっていう感じで軽く流してるけど、こういう非常事態になってくると役立たずっぷりがクローズアップされるね。ロックかなんかの影響だろうけど生意気に自律神経とか言い出してこっちの言うことを全く聞かない。血を送る以外なんも仕事しないくせになに勝手に俺の体の中で自由意志持ってんのこいつ。さっきも書いたけど分厚い脂肪に守られてるのに冷水を浴びせると勝手に収縮するし、ちょっと走るとすぐにドックンドックン泣き言を言い出す。あと死にたいと思ってもぜんぜん止まってくれない。一体何度心停止を願ったことか。まだまだ人類には進化の余地が残されてるね。